Case of Corona Secleae後遺症症例

コロナ後遺症概略

コロナ後遺症症例

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コロナ後遺症症例


症例1:30才男性 倦怠感・頭痛・微熱・胸痛・咳痰

1月上旬、コロナ感染発症。入院しコロナ陰性となった所で退院。
その後、入院先病院にてコロナ感染後遺症の治療を施行。
症状:倦怠感・頭痛・微熱・胸痛・咳痰などで後遺症の症状が揃っている。
入院中に味覚障害や嗅覚障害も出ていたが改善したとのこと。
来院当初、入院病院の外来では袪痰剤・鎮咳剤・補中益気湯を投与されていた。

3月上旬:入院先病院での治療で治らないことより当院受診。
両脇の熱が著明で、明らかなコロナ感染後遺症の病態と認識。
まず両脇の熱を取る漢方治療を開始。補中益気湯では無理があることは明瞭。
それに頭痛などの表症も加わり発表することも考え治療を開始。

3月中旬:最初よりは辛くないが微熱や頭痛、胸痛や倦怠感が残る。
但し自宅内のことは出来る様になった、と。
両脇の鬱血の左右差が顕著で左優位となっており…処方を変更。

4月上旬:電車に乗って買い物に行けるようになった。
疲れると胸部違和感や胸痛がでる、と。
両脇の鬱血の左右差は同じ様に左が優位で同処方を継続。
状態が安定しているため3週間分の漢方薬の投与。

5月上旬:殆ど良い感じになった、と。会社にも行ける自信が出てきた。
同じ様な症状を示した時のために最低限の漢方薬を処方。
これにて治療を終了となった。約2ヶ月間の治療だった。



症例2:30才女性 感染時から続く咳痰

2月初旬:1月にコロナ感染となり、それ以後咳が止まらない、と。
漢方医に受診していたものの症状が取れないとのことで来院。
袪痰剤と鎮咳剤と共に石膏剤を投与されていた。
この方も両脇の鬱血が顕著のため石膏剤だけでは不足と判断。少陽病期の熱を認識することが重要と思われる。石膏剤と共に両脇の少陽熱をとる漢方薬を併用投与。

2月中旬:少し咳が止まってきた、と。
同処方を継続。

3月初旬:ほぼ咳は気にならない。
もう少し治療をしたいと来院。
3週間分の漢方薬処方を施行。以後、軽快。

追記:この様な咳のみの後遺症に関しては、退院直後から治療をすると治りやすいことが確認できます。他の症例での退院後からの咳の治療では3週間で治癒しています。妊娠中のコロナ感染によるコロナ後遺症の咳でも、妊娠中なので漢方薬を少量投与としているケースもあります。



症例3a:60才女性 胸痛と脱毛

胸痛と脱毛を主訴として来院。
コロナ感染は12月で入院し、コロナ感染陰性となり退院。

2月初旬:その後も後遺症症状は治まらず2月初旬に当院に来院。
左季肋部を中心に欝熱が貯まっていることを確認。
これに対して漢方治療を開始。

3月初旬:胸の痛みは楽になったが脱毛が続く、と。
脱毛の原因が分からず、胸痛の漢方治療を継続。

4月初旬:胸痛は良くなったが脱毛が気になる、と。
ここで初めて脱毛の原因となる左下腹部の力の低下に気付く。
左季肋部の欝熱の治療と共に左下腹部の力を上げる治療の併用を開始。

4月下旬:脱毛は止まった、と。ただ毛が細くなった、と。
同処方を継続。ほぼ完治の状態となっている。

5月下旬:脱毛は止まったが胸の違和感を覚えると来院。
初診時の漢方処方を投与して経過を追っている。この状態はストレスでも起きうるので単なるコロナのストレスも原因の一つかも知れないと考えています。

追記:
その他にも脱毛での後遺症治療症例があり、この症例では基本的には上記の様な身体の状態で受診。その後、胃熱と下腹部の力が出てきた所で脱毛が弱くなり、途中から胃熱から胸脇苦満(左季肋部の欝熱から右季肋部の欝熱に移動)への変化を確認。このため柴胡剤を投与した所で脱毛が解消された。この様に基本的に、その時々の身体に合わせて漢方治療を施行しているのは普通の漢方治療と変わりません。

この「追記の症例」には続きがあります。コロナワクチン接種後に喘息症状が出現。一般薬投与をしても軽快しないことから、専門医によるステロイド治療が必要であり、それが有効でなければ入院が考えられるため近隣病院の呼吸器内科へ紹介。一ヶ月後に来院し喘息は大分よくなったが抜け毛が強くなったと来院。基本的にコロナワクチン接種副反応前の7月中旬と同じ身体を確認。このため同じ漢方薬投与を行い経過を追っています。



症例4:30才女性 嗅覚障害

2月にコロナ感染になり自宅静養をしていた。
その後、嗅覚障害が現れ治らないと来院。

2月中旬:嗅覚障害があり余り匂いが分からない、と。
この患者も両脇の鬱血が顕著であるため…
これを目標に漢方治療を開始。

2月下旬:風邪を引いたら嗅覚障害が元に戻った、と。
風邪を引くまでは嗅覚の改善は良かった、とのこと。
一般薬で風邪の治療を施行。まずは風邪を治すことを優先させる。

3月中旬:風邪が治ったので嗅覚障害の漢方治療を再開。
漢方薬の同処方を再開。

4月中旬:ある程度の嗅覚は戻ったが匂いが弱いものがある、と。
漢方薬の同処方を継続。

5月初旬:匂うが匂い方が弱い、と。
石膏剤を使うことを考え、少陽病と陽明病の合病としての加療に変更。
以後、症状の改善を認めるとのこと。



症例5:40才女性 胸部不快感・精神不安感

コロナ感染してから精神不安感があり「家族が大丈夫か?」と
コロナ感染に対して不安感が強い症例。

3月上旬:上記を主訴として来院。
左季肋部の欝熱を確認。
また精神不安感があり、それを考慮して漢方治療を開始。

3月中旬:不安感が強く睡眠障害も出る、と。
同処方を継続。

4月初旬:寝られないことに対して心療内科に受診。
寝られるようになってから精神的に楽になった、と。
同処方を継続。

4月中旬:顔色が良くなり不安感もほぼない状況。
そのまま同処方を継続。心療内科には受診するように話す。
ほぼ正常な生活が出来る様になっている。

5月下旬:コロナは怖いけど初診時と比較して不安感は減弱。
体調も良好なため同処方を継続。経過観察中である。
軽い不安感はあるものの普通の生活は出来る状況になっている。

7月上旬:お子さんの学校でコロナ感染者が出たとのことで来院。
漢方薬を飲んでいると落ち着くとのこと。同処方を継続投与。



症例6:50才女性 嗅覚障害・味覚障害・咽頭痛・腰部痛

5月上旬にコロナ感染をしてから咽頭痛・全身筋肉痛・腰部痛・嗅覚障害・味覚障害・怠さなどが残る、と。

5月中旬:上記を主訴として来院。
両脇の鬱血を確認。まずは表症である咽頭痛と嗅覚障害、怠さに治療を絞って漢方治療を開始。基本的に風邪の後の怠さの漢方治療は一般的なものです。風邪の後の怠さの治療において多くの患者さんを診ていますが…怠さや微熱を主訴としていらした患者さんの漢方治療の結論としては…実質臓器の欝熱を取ると良くなることが殆どです。また漢方治療は表症から治療をしていくのが普通になります。

5月下旬:怠さ・咽頭痛が取れるが他の症状が残ると来院。
胃熱が強くなっており処方を変更。朝は嗅覚障害、夕は筋肉痛や腰部痛・出来れば少しでも味覚障害に効くように黄連剤を入れた漢方処方を投与。

6月中旬:怠さ・身体の痛みは消失、嗅覚障害や味覚障害の改善はあるが今は嗅覚障害より味覚障害の方がやや強いと。
診察上では両脇の鬱血に戻っていることを確認。(身体の充血のポイントは動きます)
嗅覚障害は匂いが分かる様になってきている。味覚は少し出てきているが…味覚障害への治療を主体にするには今は難しい状況と判断。5月下旬に処方した漢方薬を継続投与。味覚障害に対しては…現状の漢方治療でも改善はあり得ること、また味覚障害が強い場合には、味覚からを主体とする身体に移行すると推測されるので…現状で取れる症状を優先に治療を行う。

6月下旬:お腹の調子がおかしい、と。風邪の胃腸炎であると診断しコロナ後遺症の漢方治療を一時中止して一般薬治療を開始。この治療で一時治ったと、後の来院時に話された。

7月中旬:再び、風邪の胃腸炎になり近隣医院に受診し来られなかった。ただ味覚障害や嗅覚障害は大分良くなっているが、近隣医院での治療で胃腸炎が治らないので来院したと。風邪の胃腸炎として抗生剤を変更し一般治療を開始。風邪のメリットは風邪が治る時に身体のバランスが是正されることにあり、コロナ後遺症治療中に風邪症状が出ても怖いことはありません。

8月中旬:調子が良かったが飲酒をした後から胃腸の調子がおかしい、と来院。嗅覚障害はほぼ完治、味覚障害は9割方治っているとのこと。軽い風邪の様な身体をしており胃腸炎の再発をしていることを確認。胃腸炎の治療を優先している。胃腸炎を繰り返すような胃腸が弱い方が味覚障害が残りやすいのかも知れないと考えられます。

9月上旬:味覚障害も治ったがお腹の調子が悪いと来院。胃熱がある胃腸炎の状態のため、一般薬と漢方薬を併用投与。もう一息でコロナ後遺症の治療は終了なのでしょう。

まとめ:近県から電車で1時間の距離でも診察にいらしているため…治療期間は最低2ヶ月程度が必要なことを話した所、心配なので遠くても以後は2週間毎の来院でも構わないとのこと。2週間間隔の診察の方が安心とのことを話されています。味覚障害の特徴は治療中に胃腸症状を示しやすいことで、一般薬の胃腸薬を入れながら漢方薬を一般の半量程度を用いて治療をしています。



症例7:30才台女性 左上下肢のしびれ・咽頭痛

7月中旬来院:7月初旬にコロナウイルス感染し、中旬に隔離解除。その後、左上下肢のしびれや咽頭痛が出てきたとのこと。胃熱を認めることから黄連剤を基本としてしびれと咽頭痛に対しての漢方薬を併用投与。

7月下旬:1週間後の受診で、しびれや喉の違和感は取れてきたが寝られないとのこと。漢方薬は同じ処方として睡眠導入剤を追加投与。経過を見る。

8月中旬:たまに喉の違和感が出るがしびれ感はなくなった、と。たまに寝られないことがあるとのことで睡眠導入剤のみを投与し治療を終了。

追記:この様に人間の身体には個性があり、同じ様な基本病態でも症状が違うことが多く観察されます。コロナ後遺症での上下肢のしびれというのは珍しい症例です。



コロナ後遺症の漢方治療のまとめ

上記の症例の様に、殆どのケースで漢方治療を主体に一般薬を併用して治療をしています。どの病態でも同じですが70~80%は難しくない治療ですが、残りの20~30%は全体像の把握が必要で治療が難しくなる傾向にあり全身像の把握まで時間が必要と感じています。加えてコロナ後遺症は個々の事例で症状が違うことが特徴で、それに対応した治療と治療を進めて行くと、次々に出てくる他の臓器の鬱血の把握などが必要となります。

とは言っても「コロナ後遺症」を特別視して治療している訳ではありません。漢方医学の診察方法では…「コロナ後遺症」でも病態の把握が出来るため別の病気の漢方治療と変わらない治療をしているだけです。現代医学では「コロナ後遺症」では特別な病態に見えるのかも知れませんが、東洋医学が捉える「コロナ後遺症」は日常的に見られる普通の病態でしかない様に感じます。

治療期間に関しては、一般の風邪の後遺症と比較して長期の治療が必要な様です。それほどコロナ感染症は臓器の充血を残しやすいことを物語っています。一般の感冒の後遺症では1~2週間で治るものが、コロナ感染での後遺症では少なくとも2ヶ月程度以上の治療期間が必要です。但し、退院後に早期から後遺症治療をしたケースでは治療期間も短い傾向になる様です。

また、それぞれの症例での漢方処方が異なっており、症状に対する漢方処方では治すことが出来ない印象を持ちます。加えて、コロナ感染発病からの時間も異なることから…時間が経っている症例に対しては治療が難しくなる傾向になる様に感じています。症状に身体が慣れてしまうと、その症状を取る処方が異なる一方で病態の把握が難しくなります。コロナ後遺症に関しては出来るだけ早く漢方治療に入った方が経過も良いように思われます。

しかしながらコロナ後遺症を恐れる必要はないと思われます。コロナ後遺症の視点としては「現代医学にはない視点が欲求される」ということだと考えています。加えて、私が日常の診察でしている「気の流れ」の把握はテレワークでは出来ません。実際の身体を拝見し気の停滞部位を確認しないと処方が決まりません。また処方を記載していないのは個々の症例において漢方処方が異なり、それをそれぞれの患者さんの診断で決める必要があるからです。実際には、これ以上の症例がありますが、今現在で必要な症例を書き出しています。ご参考になさって下さい。

2021/05/06
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すぎ内科クリニック 院長:杉

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