Case症例

更年期障害

更年期障害は、今まであった生理が止まる前や生理が止まることによる多彩な症状です。10代前半より生理が始まり50才を過ぎると生理が止まります。今まであった数十年の間の生理がなくなり身体が変わったために起きる症状に他なりません。

まずは検査を!

FSH(mlU/mL)黄体刺激ホルモン ・・・ 目安40以上 〜160
LH(mlU/mL)黄体化ホルモン ・・・ 増加傾向 〜70
E2(pg/mL)エストロゲン ・・・ 減少傾向 〜10

現代医学の考えとしては、FSH(黄体刺激ホルモン)やLH(黄体化ホルモン)は脳下垂体から分泌されるホルモンで、エストロゲンが減少すると分泌するようにするホルモンです。この考えから更年期にはエストロゲンが減少し、その分泌を増加させる様に脳下垂体から出ているFSH(黄体刺激ホルモン)が増加することにより、更年期障害か?どうかを判断します。

このホルモンの検査はしておいた方が良いのは、症状があれば当院に受診をする以前の問題です。大切な検査でもあります。

ホルモンの検査で問題がなかったら?

1. 概略

更年期障害(こうねんきしょうがい、英: Menopause, postmenopausal syndrome、PMS)とは、性腺ホルモンの低下に起因する症候群で、主に女性での症候群を意味する。女性の場合、卵巣機能の低下によるエストロゲン欠乏、特にエストラジオールの欠乏に基づくホルモンバランスの崩れにより起こる症候群。男性でも加齢により男性ホルモンの一種であるテストステロンの急激な減少が起こることがあり、更年期障害が発生する。男性の場合はLOH症候群と呼ばれる。脳神経に腫瘍ができたなどの問題があるめまいならば外科的な対応になり、一般的に画像診断で問題がないめまいならば対症療法になってくるのが一般的です。(wikipediaより抜粋)

2. 更年期障害の症状とは?

いわゆる不定愁訴に属する症状が多く、その強弱は精神的要素が関与している。この時期は空の巣症候群や職場での問題・家族の介護などでストレスを抱えやすいことも一因と言われている。「血管運動神経症状」と「精神神経症状」および「その他の症状」の3つに分類される[1]。エストロゲンの欠乏は多くの症状に関与するが、特に「血管運動神経症状」への影響が強いとされる。更年期障害の症状は多くは自然に軽快するとされる。

3. 更年期障害の症状例

  1. 血管運動神経症状 顔の火照り、ホットフラッシュ、異常発汗、動悸、眩暈
  2. 精神神経症状 情緒不安、イライラ、不安感、抑うつ、不眠、頭重感
  3. その他の症状

運動器症状 – 腰痛や関節痛など
消化器症状 – 嘔気や食欲不振など
皮膚粘膜症状 – 皮膚乾燥や掻痒感など
泌尿生殖器症状 – 排尿障害や頻尿、性交障害、外陰部違和感など

症状の発現頻度には人種差があり、日本人では肩こり、易疲労感、頭痛、のぼせ、腰痛、発汗異常の症状が多いとされる。(wikipediaより抜粋)

数理学的および漢方的な視点とアプローチ

1. ホルモンにより波動する女性の身体 更年期前の女性

生理前になると下腹部が張り、生理後になると下腹が緩む身体の状態続きます。この場合には生理前になると下腹部がはり便秘を訴える女性が多くなってきます。この生理前の便秘に関しての漢方治療は駆血剤の下剤が適していることになります。
※ 駆血剤:下腹部のうっ血を取る漢方薬

2. ホルモンの波動が減弱する閉経期女性の身体 更年期の女性

閉経期に近づくと女性ホルモンの低下によって生理が不順になり止まります。このときでも生理を起こさないまでも女性ホルモンが身体からなくなることはありません。ここが更年期の一つの大きな問題となっている様なのです。

更年期障害へのアプローチ

1. ホルモンにより波動する女性の身体 閉経後の女性:その1 充血の場合

その1:下腹部の充血

女性ホルモンが低下していてもホルモンが出ており徐々に下腹部のうっ血が強くなることがあります。
この場合には下腹部のうっ血から多彩な症状を起こします。代表的なのはホットフラッシュです。頭が熱くなったり、顔を中心に汗をかくことが起こり不快感を覚えます。

内科医である自分がこの様な病態を見つめるときには東洋医学の感覚で診ています。

いままで40年近くあった生理が来なくなっても女性ホルモンが全て亡くなるわけではありません。そのため徐々に下腹部の熱感が強くなり、これがもとでホットフラッシュを代表的な症状として訴えます。漢方治療では駆血剤を使います。

2. ホルモンにより波動する女性の身体 閉経後の女性:その2 虚血の場合

その2:下腹部の虚血

女性ホルモンが低下していてもホルモンが出ている反面、下腹部が虚脱して下腹部に虚血を生じることがあります。
この場合の症状は下腹部のみが虚血して他の臓器の虚血がないことから、下半身は冷えて上半身が熱くなりのぼせることが多くなります。
全身の冷えを感じるまでには、のぼせという症状が取れた後に身体全体が冷えて行く感じになります。

この場合には下腹部の虚血を補うことが必要です。代表的なのは当帰剤を使うことです。このような場合には胃腸虚弱も伴うことが多く胃腸虚弱の薬を併用することも多くあります。

3. ホルモンにより波動する女性の身体 閉経後の女性:その3

その3:下腹部の虚血と肝臓のうっ血

女性ホルモンが低下していてもホルモンが出ている反面、下腹部が虚脱して下腹部に虚血を生じ、そのバランスを整えるため肝臓がうっ血することも多くあります。
下半身が冷え、その上の臓器の肝臓がうっ血する訳ですから、いらだちが強くなって来ます。頭がボーとする感じも加わってくるのが一般的です。

この場合には代表的な漢方薬として加味逍遥散があります。
一般的な医療現場の感覚として更年期障害=加味逍遥散という図式の様ですが、この場合は少ないのが実情です。漢方治療には病名投与では無理があります。その理由は、漢方薬が出来たことは今の病名がなかったからです。

ホルモンにより波動する女性の身体 閉経後の女性:その4

その4:下腹部の充血と脾臓のうっ血

ひとそれぞれ顔が違う様に身体の性格も異なります。色々な状況がありますが、典型的な例として症例を発信しています。
この場合は下腹部が充血し、それに加えて脾臓のうっ血も見られます。のぼせと共に皮膚症状が強く出てきやすくなる状況です。

この様な場合もあります。症状としての特徴はホットフラッシュや湿疹が強くでることです。駆血剤と共に胃熱(脾臓の熱)のため黄連剤を併用するのが自分の一般的な治療になります。病気の経過にも波があり、その波を如何に乗り越えながら閉経期を乗り切るか?ということが重要です。

更年期障害の治療への考え方

基本的に上記の様に閉経後の代表的な身体をお話しましたが、身体を診察しなければどこがどうなっているのかが分かりません。
今の現状での漢方治療は「症状=治療」とはなりません。病名での漢方治療を行っていると効かないばかりでなく、酷い症状がでる場合もあります。漢方治療では身体を診察することが基本になります。

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