症状が皮膚に出るため、皮膚自体に問題があるように思われがちですが...
意外なことに、東洋医学的な視点ではその原因は内臓にあることが多い病気の一つです。
内臓と皮膚とは、マグマと噴火口の関係と似ています。
噴火口はマグマの出口ですが、マグマが押し上がってこなければ、噴火はしません。
マグマが溜まることと、噴火口からの噴出。これは内臓が鬱血することと、皮膚にじんま疹が出る関係に例えることができます。
この様な視点から得られる結論は噴火口である皮膚だけに着目し、地底マグマの状況を把握しないことが問題なのではないか?ということに繋がっていきます。
身体に利点があるからアレルギーが発症するのではないでしょうか。
どのような病気であれ、身体にとって必要があるから症状が発症するのではないかと推測しています。身体が単に苦しみという悪害を出しているだけというのは間違いです。
「身体の一部に貯蓄された余分な血液を少しでも身体の外に出したい」そんな身体の欲求があり、その目的からアレルゲンを作りだし、じんま疹を起こしていると推測できます。
現代医学では全容を解明出来ていないのでは?
必要性があるならば対症療法(症状のみを取る治療)に終始するのが現代医学の治療です。
慢性のじんま疹があるということは、その身体にとってじんま疹が必要なのではないか、と推測できます。
東洋医学的な視点から見れば、じんま疹によって内臓の熱を逃がしている姿が垣間見えます。
結論として、現代医学ではじんま疹でさえ全容を解明出来ていないのではないか、と考えます。
じんま疹はとても多い病気です。
これまでに、漢方治療を求める多くの患者さんを診てきました。
じんま疹の強さは様々で、強いじんま疹(アナフィラキシー)では命に関わります。強いじんま疹が発症した際には、症状を抑える点滴や内服治療を即座に行うことが必要です。このような場合での治療は一般医療が優先されます。
慢性的なじんま疹治療も一般的な抗アレルギー剤を投与してから経過をみるのが最初の段階の治療として大切です。この場合になってくると、じんま疹治療が対症療法で終わってしまいますが、東洋医学の視点から見ると根治に近い治療が出来る状況でもあります。
現代医学の考えとしてはアレルギー反応の関与によって、じんま疹がでているとされています。このためにじんま疹が発症した際に使用する薬は「抗アレルギー剤」ということになります。具体的には抗ヒスタミン剤やステロイドホルモンなどが代表的な薬です。
漢方医学的に考えると症状を取っているだけの対症療法治療が現代医学の治療です。じんま疹で悩まれる多くの人は内臓のうっ血が原因となっています。このため当院では、抗ヒスタミンも使いますが、じんま疹の原因と考えられる内臓のうっ血を取る漢方薬を併用し治療していきます。
まず考えることは、アレルギー反応を起こす身体の状況を考えることです。アレルゲン(身体にアレルギーを起こす物質)の検査をすることも大切です。身体がアレルギーを引き起こす物質から遠ざけることでアレルギー反応が軽減します。
もう一つ大切なことは、「なぜアレルゲンに反応してじんま疹を起こす身体になったか?」という病気の根本原因に目を向けることが必要です。
残念ながら現代医学では、この問題は未解決のままです。しかしながら漢方医学には身体を一つと診る病気に対する別の視点があり、内臓と皮膚が関連して運動していることを示唆しています。この様な視点から実際に漢方医学により臓器のうっ血を取るとじんま疹は自然に消えていくことが多いのが臨床を通して実感していることです。